八週間講座
タイトル「はいひーる」

人  物
神崎桂子(30)
木村順教(かずのり)(30)その同僚
久能恭一(31)

あらすじ
三人は同期
ある時桂子に大きなプロジェクトをリーダーとしてまとめる話がきた。
しかしそれは男性主流の会社内の男尊女卑ににたいするフォローの一環で、実際は裏では恭一がやっているプロジェクトと類似しているものだった。
それを知っていた桂子はその話がきたときに苛立つ。

○株式会社GNプロジェクト・会議室前の廊下
    ドアが勢いよく開き、そこから神崎桂
    子(31)の7cmヒールの茶靴が勢いよく出、そ
    して凄い音を立ててドアが閉まり、そ
    の足はカツカツと足音を立て廊下を歩
    く。
○同・喫煙室
    桂子が慌ただしく何度も勢いだけで、
    紫煙を吸って吐いては、まだ短くも無い
    煙草を灰皿に押しつけ、そしてまた新し
    いものを取りだしては火をつけ、同じよ
    うに繰り返す。
    そこへ木村順哉(30)と久能恭一(31)が現れる。
    久能はどかっと桂子の横に座り、木村は
    喫煙室にある紙コップの自動販売機の前
    へ行くと、ブラックコーヒーとカフェオ
    レを買う。そしてブラックコーヒーを久
    能に、カフェオレを桂子に渡す。
桂子「(怪訝な顔で)何よ、これ?」
    桂子それを受取ながらも睨むが、木村は
    静かに微笑みながら小首を傾げ、それを
    黙ってみていた久能は咳払いをする。
久能「で、どうだった?」
桂子「どうだっていいでしょ!」
    カフェオレを桂子は口に運ぶ。
桂子「熱!!」
    桂子は舌を火傷し直ぐにカップを口か
    ら離し、久能は笑う。
桂子「云いたいことがあるんなら、はっきり
  云ったら?いいわよ別に何云われたって」
久能「(呟く)低脳エコノミックアニマル」
    怒りに目を見開き桂子は仁王立ちで立
    ち上がる。
桂子「何!!あんたこそ組織の中でのたうち
  回っている酸化し終わって価値の無くなっ
  た鉄屑じゃない!」
    飲みかけの紙コップをテーブルに置き、久能も立ち上がる。
久能「何だと、お前こそ大海を知らない可哀相な蛙のくせに!」
桂子「大海?悪いけどあんたじゃないんだから、知りすぎるくらい知ってるわよ、大海どころか大陸から挙げ句の果ては成層圏までずずずいーと!!」
久能「はん、勘違いも甚だしいね。自分を知らないって云うのは、なんておめでたいんだろうな、うらやましい限りだ!」
桂子「何、云ってるの!この腐れ外道が!!」
久能「何云ってやがる、この勘違い女!!」
木村「まあまあ... 」
    今にも取っ組み合いの喧嘩をしそうな二人を、立ち上がってきむらが両手で押さえ止める。
木村「まあ、落ち着いて下さい、はい」
    木村、桂子に瞬間接着剤を渡す。
木村「折角のハイヒールの踵、折れちゃったでしょ?」
    桂子眉間に皺を寄せながら受取、座って靴を直す。
木村「不本意でもプロジェクトを任されるのは凄いじゃないですか」
久能「やりたくねーなら俺がやってやるぜ?」
    桂子折れた踵の接着を確認するように、一度カンとならしてから立ち上がり、呷るように二人を一睨みする。
桂子「いくらおこぼれの仕事でもあたしの仕事よ。あんた達もこんなところでさぼってないで仕事したら?」
    啖呵を切って部屋を出る。

○同・廊下
    桂子周りに人がいないのを確認し、壁を思いっきり叩く。



→Indexに戻る