明日はアカルイ!! 


 あれはいつの事だったのだろう。
 桜の花が散り、新緑の季節。今日みたいに、上着が邪魔に感じる暖かく、緑に陽射しが差し込み、キラキラしていた。確かそう、佐々木が株式会社東和へ入社し、社内研修を終え経理部へ配属されて間もない頃だった。
 上司の指示で古い書類の整理をしていたとき、五年くらい前に配布された一冊の社内報を見つけた。
 タイトルは、十億を動かす男、資材調達部・都築 伸幸=B
 初めて聞く部署名、名前だった。十億もの利益を会社にもたらしていたにも関わらず、都築の名前も、会社にいるかすら判らなかった。
 いつか都築と逢ってみたいと思った。
 興奮を覚えながら、誰の目にも止められないように、こっそり社内報を自分の机へしまった。そして社内報を読んだ瞬間方、都築は佐々木のあこがれの存在(ヒーロー)になった。


  * * *


 暖かい陽射し、生き生きとした木々の葉、少し離れたところでは噴水の水音。
 桜の花の季節は終わってしまったが、それでも昼下がりの公園は、暑くも寒くもない心地よい空気が包んでいる。こうやって公園のベンチで座っていると、忙しい仕事など忘れてのんびりとしたい、そんな欲求が思わずあふれ出してくる。
 目の前の風景と、そしてあたりに漂う不快な匂いを無視すれば。そんなやり場のない思いに、佐々木祐司は眉間に深く皺を寄せて、大きく溜息を付いた。
 公園の木々の間に隠れるように建てられた、段ボールハウス。それも簡単な寝床ではなく、きちんとしたサイズの小屋。
 普通ならば会社で仕事に追われている、月曜日の昼下がり。仕事の為と諦め段ボールハウスの近くのベンチに座り込んで、早数時間が経過していた。
 スーツを着て人待ちをしている姿の佐々木は、この公園の住人からも、そして通り過ぎる市民からも不振に思えるらしく、口では咎められはしないけれど、それでも痛い視線を何度も感じられた。
 本当にあの人≠ェ助けてくれるんだろうか…。
 何とかなる…、大丈夫。自分を必死に元気づけていても、時間が経てば経つほど広がる胸の奥で広がる不安に、何度目かの深い溜息を付くと、今朝、突然自分を襲った現実が思い出された。
『佐々木君、困ったことになったよ…』
 そう言ったのは佐々木の上司の加藤だった。
 佐々木が勤める株式会社東和は、建設や不動産関係の仕事をしていた。入社して二年間、経理部予算管理課に在籍し、加藤課長の下で会社の経費を予算と付け合わせる、そんな仕事を一人で担当している。会社の経費や予算と言うと大変な仕事のように聞こえるが、実際は各部署から回された書類から経費をデータベースに登録し、収入と支出の帳尻が合うか確認し、合致することを報告する…、収支報告を行う単純な作業を繰り返していた。
 今朝、週明けに必ず行われている朝礼に参加する間も与えられず、いきなり加藤から会議室に呼び出された。
 朝礼を行っている声が微かに聞こえる会議室。机の上には佐々木が担当している業務の収支報告書と背表紙に大きく書かれた厚いバインダーと、そして会社から支払われた履歴を打ち出した帳票が広げられていた。
 入ってきたのを確認し部屋に鍵をかけると、加藤は何事かと戸惑っている佐々木を座らせ、帳簿と帳票を目の前に置く。
「ここの合計を計算してみてくれ…」
「はぁ…」
 加藤に言われるままに佐々木は手元に置かれていた電卓を取り、台帳と帳票を比べながらしていく。よく見ると台帳に書かれている数字も、帳票に記載されている数字も先月佐々木が処理したものだった。
 見知った数字を純に計算していく。
 しかし、先月まとめたときは何の問題も感じられなかった数字が、再度計算してみるとおかしい。それどころか、本来帳票と台帳と同じ金額でなければいけないはずが、帳票の支払っている金額が七千万多い。
 ▲¥70,000,000−。
 この記号が意味するもの。それは、本来会社に無ければいけない七千万円無くなっている、そう言う意味だった。
「これって…」
 そんなはずは無いと、何度も計算し直した。しかし、結果は同じものだった。
 ただの入力間違いならまだ叱られるだけか、始末書を書かされる程度だと思える。しかし、そうでなかった場合は…。血の気は引き背筋に寒いものを感じ、佐々木の電卓を叩く指の震えが止まらなくなるのが自分でもはっきりと判った。
 必死に計算をし直す佐々木に、加藤は溜息のような息を吐きながら呟く。
「来月、会計事務所の監査が入る。私が何度か計算し直したよ。しかし、合計金額から七千万不足したままだった…。よく見るとね、端末から銀行へ七千万振り込まれていた。それも君の名でね」
 様々なオンラインシステムの発達で、銀行への支払いは登録された人間が、会社の端末から出来るようになっていた。佐々木も担当として処理は出来たが、しかし支払いをするには何重上司の確認の因果必要で、その許可が無い支払いは常識としてあり得なかった。
「そ、そんな! そんな事、してません! それに、伝票が無ければ銀行への支払いも出来ませんし、でも月末の報告の時にも、決算報告の時にも金額は何度も確認したはずです! 課長も承認印を押してくれましたよね!」
 大学を卒業し新卒で会社に入りずっと経理部で仕事をして三年目の春を迎え、今までケアレスミスは時々していたが、それでも大問題になるようなことは無かった。見に覚えが全くないことを言われ、佐々木は思わず立ち上がって叫んだ。けれど加藤は混乱し顔を真っ赤にしている佐々木とは反対に静かに息を吐きながら言葉を発する。
「ああ、確かに…、私も何度も確認して承認を押したはずだった。しかし、実際には銀行から取引の無い相手に支払われ、引き下ろしていた」
 あまりの衝撃に、佐々木は世の中がひずんで、加藤の言葉が上手く聞きとれなくなりそうだった。
「佐々木君…、私は君を信じたい、いや何かの手違いだと思う。けれどね、この不足金額は誰かが故意でやったと疑われてもおかしくない…」
「そんな!」
 まるで佐々木が改竄でもしたような言われ方だった。確かに疑われても仕方ない程しっかりした証拠が残っている。
「だから…、君に、相談があるんだ…。まず、落ち着いて座ってくれ」
 眉間に皺を寄せながら加藤は、佐々木をたしなめる。加藤の相談事も、今、立たされている状況も何もかも判らないまま、佐々木は言われるがまま椅子に腰掛けた。加藤は佐々木が席で落ち着いたのを確認し、話の続きを始める。
「君にある人物に逢ってほしい…」
「ある…人物…ですか?」
「ああ、多分都築なら…。いやそいつなら不足している金額くらい簡単に作れる」
 そう言い切った後、呟くように加藤は言葉を添える。"十億を一瞬で稼いだ男、都築伸幸=B
「!!」
 佐々木が反応したことに、加藤は軽く頷くと表情を少しだけ曇らせる。
「あぁ…、名前くらいは知っているか。不動産の部門の営業でも稼げなかった金額を簡単に稼いだ…」
「知ってます! 十億を稼いだ男≠ナすよね!」
「ああ、しかし現実はただの横領犯だがね…」
 はしゃいでいる佐々木を渋い顔で見つめ、加藤は口惜しそうに吐き捨てた。
「えっ…」
「あぁ、そこまでは知らなかったか…。都築は株で大儲けをしている内に、会社の金と自分の金の区別が付かなくなり、でかい投資をし、そのまま逃げた…」
「…」
「実際は訴えない約束で、金を返してもらって辞めていただいたんだがね…。あいつならこの金額を一瞬で作ることが出来る」
「でも、どこにいるのか俺は…」
「それならあたりはついている」
 不安…、そして都築に逢える微かな期待。戸惑いながら佐々木は、加藤に言われるままに会社を後にした。


  * * *


 都築の居場所は、会社から十数分行った先の駅で降りた住宅地の公園だった。加藤の配慮で佐々木は体調不良を理由に早退した。そして、そのまま取引先に出向扱いで都築を探して不足を補ってもらうまで、当分会社へは出勤しなくてもいいことにしてくれた。
 それが良いことなのか悪いことなのか今の佐々木には判断しかねることだった。七千万と言われても実生活で手に入れることも見ることも無い金額にはピンと来るものは無かった。しかし、自分では一生掴むとこのない金額、七千万と言う大金を補うには、加藤が言うように都築に協力して株で稼いでもらう以外の方法は想像がつかなかった。
 あこがれの十億を稼いだ男は、会社の金を横領し、そして最後には公園の小さな段ボールで作られた小屋での生活。
 元々都築は変わった奴だったと加藤が、言っていた。確かに段ボールでの生活を都築が何で選んだのか、理解など出来ない。けれど、顛末を知らされはしたが、それでも都築を軽蔑する気にはなれない。七千万不足と言う険しい現実を見たくないと思っている所為もあったが、都築と逢う機会に不安ではない感情で緊張していた。
 早く逢って話をしたい、思いを募らせながら待つこと数時間。そろそろ日が傾きかけるそう思い始めた頃、背後でがさがさと木々が動く音が耳に届く。佐々木は期待に胸を何気なくその方向を見つめ、その瞬間、動きを止めた。
「あっ…」
 やっと逢えた! 佐々木は息を飲み込みながら、逆光ではっきりとしない人物へ目線を止めた。
 都築だった。無精ひげが伸び、髪はぼさぼさになっている。着ているダークブラウンのスーツには皺が付き、型の崩れた乱暴な着方を伺えた。第二ボタンまで首をくつろがせ、ネクタイの結び目もだらりと緩めていた。
 それでもかっこいいと感じた。社内報に載っていた写真のように、眼鏡をかけ髪の毛をぴっしりと撫でつけ、高そうなスーツを上品に着ていなくても、それでも佐々木より大きい身長の所為かも知れないけれど惹きつけられる魅力が感じられた。
 緊張したまま佐々木は慌ててベンチから立ち上がり、不器用な態度で都築に駆け寄り声をかける。
「あ、あの…、都築さんですよね?」
 いきなり近づいてくる佐々木に、都築は声を出さず眉をひそめただけで、そのまま段ボールハウスへ向かう。名を呼んでも立ち止まる気配の無い都築に、佐々木はいささか不安を感じた。確かに佐々木の知っている都築とは雰囲気が違うが、それでも間違えていないその自信があった。今度ははっきりと都築を呼び止める。
「あの、都築さん、ちょっと待って下さい!」
 今度は都築も足を止めた。佐々木はホッとして都築の元へ走る。微かに息を弾ませながら佐々木は緊張で引きつった顔で笑顔を作る。
「突然声をかけてすみません、都築さんですよね?」
 都築から返事はもらえなかったが、それでも怪訝そうに真っ直ぐに見つめる視線が否定では無いと佐々木に自信を付けさせてくれる。緊張で震えそうになる手を必死にかくし、佐々木はポケットのケースから自分の名刺を一枚取り出す。
「あ、俺は都築さんが以前いらっしゃった東和の経理部にいる佐々木祐司と言いますが…」
 普段仕事で客に逢うときはしない緊張が背筋に走って敬語が上手く出てこない。都築は機嫌悪そうに見えたが、名刺を手にはしてくれたものの、それ以上何か反応をする訳ではなかった。
「あの…、都築さんにどうしてもお手伝い頂きたいことがあって…、その…どうしても都築さんのお力をお借りしたいんです! 都築さんじゃないと…、どうしてもダメなんです。御願いします」
 頭を下げる佐々木に、不機嫌な表情をしたまま都築は深い溜息を付くと、名刺をその場で落として立ち去ろうとする。
「あ、待って都築さん…」
 藁にも縋る思いで佐々木は都築のスーツの袖を握った。都築は佐々木を睨むと、袖を掴んでいる手を払う。
「どこで俺の事を知ったのか知らないが、その手を離してくれないか?」
 初めて聞く都築の声は、低さに魅力がある声だった。いきなり現れて助けてくれと言っても不審に思うのは当然かもしれない。けれど、今都築の協力を得られなかったら、これから自分がどうなるのか判らなかった。
 佐々木は都築の袖を掴んでいる手を離すと、九十度以上深く頭を下げる。
「すみません、都築さんの事は会社の上司から伺ったのですが…。都築さんも東和に色々とあると思うのですが、それでも今、都築さんに頼る以外ないんです!御願いです、話だけでも聞いて下さい」
「断る! 今の口振りなら、俺が横領して会社を首になったことも知っているんだろう?」
「そ…、それは…」
「だったら判るだろう? 俺はあんな会社にもう二度と関わりたくないんだ。どうせどこかで株で十億を稼いだとか、そんな話を聞いたんだろうが、もうあの会社とは関わる気はない! 帰ってくれ!!」
 そう言いきると都築は段ボールハウスへ入ってしまった。
 無理矢理でも近づけば近づける、紙一枚だけの遮る空間だったが、そんな小さな距離を侵害しては行けない、そんな気がした。そして佐々木は、聞いてくれているか判らなかったが都築のいる段ボールハウスに叫ぶ。
「勝手なのは承知です! でも、俺、やってもいないのに七千万の横領犯にさせられそうで…。本当はそれ、やった犯人探した方がいいんだと思うんですけど、監査がすぐあって…」
 泣きそうになるのを必死に押さえ佐々木は言葉を繋げる。
「今…、都築さんに協力してもらって何とかその金一旦補うしか方法が浮かばないんです…。また来ます」
 佐々木は都築の住む方向に頭を下げると、加藤と話そうと一回会社へ戻って会社へ戻ることにした。


  * * *


 自分でもどうしていいのか判らなかった。ただ加藤に言われ、興味だけで都築の元へ行った、結果が都築をただ不愉快にしただけだろう。
 佐々木が深い溜息を付きながら重い足取りで会社へ戻って来たのは、日が既に暮れまもなく定時を終了する…、そんな頃だった
 一旦席に荷物を置き、今日の都築とのやりとりを加藤へ報告しようとした瞬間、自分に対しての周りの視線と態度にいつもとは違う感覚が伝わってきた。経理総勢でも両手で収まる人数しかおらず、区画には人事の業務を兼任する総務部、広報を担当する企画部といくつもの小さな部署が集まっていた。
 聞こえてくる女性たちの声から、微かに"横領≠ニ言う言葉が伝わってくる。最初は自分で気にし過ぎているための幻聴かと思った。しかし、こそこそと自分の姿を盗み見る部員や周りの視線の痛さや、ざわめき佐々木は耐え難いものが伝わってきた。
「佐々木君!」
 どう対処していいのか困っていた佐々木を助けるように、加藤が声をかける。荷物を持ったまま佐々木は、慌てて加藤の元へ行き共に廊下へ出た。
「困ったことになったよ、佐々木君が処理を行った七千万の不足が部長の耳に入ったらしくてね…。社内で君が横領を叩いたんではないかと、言い始めてね」
 訊ねる前に、加藤は溜息と共に小声で呟いた。佐々木は自分がいない間に何があったのだと攻めるように加藤を見つめる。
「そ、そんな、だいたい七千万だって身に覚えがないんですよ!」
 必死に潔白を訴える佐々木に、加藤はなだめるように肩を何度かそっと叩く。
「ああ、判っている。しかし、以前都築の件もそうだが、横領云々でもめたことがあるとね。皆、過敏になるものなんだ…。まあ、何故そうなったかは、私の方で今調べている…」
「本当ですか?」
「ああ、こちらは心配しないでいい。それより都築の方はどうだった?」
「あの…、こちらの言い方が悪かったみたいで、怒らせてしまったみたいで…」
 都築から露骨に嫌われている態度を取られた佐々木は、言い訳すら浮かばなかった。簡単に収集の付かない状況に、佐々木は加藤への都築に関する協力を為の無いと覚悟を決める。
「でも! もう一度、いえ、話を聞いてもらうまでは、何度でも訊ねます! だから、加藤さんの方も、金額がなんで不足しているのか確認して下さい。俺、横領なんてやっていなし、先月金額を確認したときは合っていた自信があるんです!」
 佐々木は加藤の両手を力一杯掴んだ。加藤に手伝ってもらって何故七千万合わなかったのか確認事が出来ないのであれば、本当は解決になっていないだろうが、それも一旦無かったとことにするしかない。それには株で何億も稼ぐ才能がある都築に協力してもらうしかないのだ、そんな決意表明のように。
 加藤は小さく溜息を付くと、必死に握る手を解く。
「判った。君も会社に来づらいだろうから当分、出てこなくていいから。頑張って都築を説得してくれ…」
 佐々木は肩をがっくりと落としていた背筋を正すと、加藤に一礼をすると会社を後にした。


  * * *


 足元から凍えさせる花冷えがこんなに寒いのだと、佐々木は初めて知った。
 深夜の公園。加藤には説得すると言いきったものの、実際に何をしていいのかいい案があるわけではなかった。せいぜい浮かんだのは、都築が食べそうな食べ物や飲み物、そして普段使いそうなタオルや石鹸のたぐいの日用品をいくつか買ってプレゼントする程度だった。
 会社を出てそのまま公園に戻り、都築が住処にしている段ボールハウスに何度か声をかけてみたが、留守なのか、それとも居留守を使われているのかは判らなかった、何の返ってこない不安がどんどんつもってくる。都築に対して何かを強制する権利を持っていない佐々木は、ただ待つ以外の方法を持っていなかった。
 会社であれだけ噂が広がってしまえば、やっていないと証明されても、もしかしたら居場所はもう無いかも知れなかったし、都築に頼むなどお門違いも甚だしいことなのかも知れなかった。けれど、今は都築に助けてもらうことでも考えていないと気が狂いそうだった。
 日付が変わりこれから夜明けまでどんどん気温は下がってくる。飲みにでも誘われない限り、外になど出ない時刻。今晩、都築は戻ってこないのではないか、明日の朝もう一度来た方がいいかもしれない。佐々木はそう思うと席をずっと温めているベンチから立ち上がり、段ボールハウスへ近づいた。
 夜目ではあったけれど、近くで見ると都築の段ボールハウスと言うよりも、小屋ではないかと思えるほどしっかりした造りになっていた。感心しながら佐々木は泣きそうな声を必死に押さえ、叫ぶ。
「つ、都築さん、あ、あの…もう一度話を聞いて下さい。俺、都築さんがすごい金額を作れるって話は知っていますし、確かに俺、稼いで欲しいって勝手な御願いで来てるんですけど…」
 壊さないように注意を払いながら、ノックする。もちろん相手はいくらしっかりと造られているとはいえ段ボール。音がするわけではなかったが、それでもただ声をかけるだけというのも寂しい気がしてついしてしまう。
「あの…、いらっしゃるなら一度返事をして頂けませんか? 都築さん…」
 呼びかけも空しく返事をもらえず、後ろめたさを感じながら、こっそりと扉になっている部分を開けた。
「もしもし…、都築さん? いらっしゃいますか〜」
 公園の薄明かりが漏れる静まり返った都築の住処。中には、都築の姿がなく、緊張が一気に溶け佐々木は思わずその場にへたりこんだ。
「あ、留守ね…」
 安心して息を吐きながら、勝手にいじって申し訳ないと思いつつも、都築の…、そして初めて入った段ボールハウスへの興味に負け、手元にあったランタンに火を灯した。赤い炎が照らし出す畳二条ばかり空間は、身長が百七十の佐々木が立つのはやっとの高さではあるが、思っていたよりも広く、それでも都築の几帳面さを伺わせるように、佐々木の一DKの部屋よりもきちんと整頓されていた。見た感じ寝床だけしか使われていないようだったけれど、普段使う食器類、奇麗に丸められた寝袋、そしてノート型のパソコン、書籍が邪魔にならないように置かれている。
「あ…、四季報」
 都築の荷物の中に、株の値動きが会社別に書かれている最新の四季報を手に取った。
 加藤の言っていた、会社の金を使い込むほど株に費やした人間…、都築。佐々木の周りにはプチ株と言う、動かす金額も損失額も少ないが、利益もそれほど高くないちょっとした小遣い銭稼ぎをやっている人間はいた。けれど、都築のように証券会社と法人契約を結び、代表として会社の運用資金を稼ぐなど全く想像出来なかった。まして、儲けて、儲けて十億以上の金額を一瞬で手に入れるなど…。
役職は付いていなかったけれど、社内の待遇は取締役クラスの待遇で給料も高かったと聞いていた。投資に失敗して、会社の金に手を出す。佐々木にはやはり判らない世界の話だった。
 自分勝手なのは承知だったが、この本から今の佐々木を救ってもらえる何かが無いかと、どきどきしながらページを開く。
「すごい…、メモがいっぱい書いてある…」
 株の事全然判らなかったが、それでもページの先端が折られ赤い文字が書かれている会社は何かあるんだろう、と間接的に伝わってきた。
 奇麗な字…。端書きだから崩してはあるが、それでも達筆さを伺える字。直筆の文字を初めて見て、完璧さと几帳面がはっきり伝わって、自分の中の都築へのあこがれは更に増してきた
 このまま待っていたら、都築はどう思うだろうか…。昼間あれだけ言われたのだから、好意的な態度をとることなどありえないだろう。せいぜい叩き出されるのが関の山だろうか…。小さく溜息を付き、四季報を元あった部分に戻そうとした瞬間、勢いよく扉が開く。
「そこで何している!」
「あ…、都築さん…」
 都築は手にしている四季報に目をやると、背をかがめてでないと入れない狭い入り口で乱暴に靴を脱ぐと、その勢いのままひったくるように奪い取り、鋭い目線を佐々木に向けてくる。
「お前、昼間の…」
 都築の怪訝な顔だった。佐々木に悪意があるわけではなかった。しかし、勝手に都築の四季報を眺めている姿は、情報を盗もうとしているようにしか見えないのは明らかだった。怒りを露わにする都築の表情に圧倒され、頭の中が混乱して整理が付かず言葉が浮かんでこない。それでも何とかしようと佐々木は必死に口を開く
「すみません…、本当は…、勝手に上がるつもりなかったんです…」
 ちらりと取り上げた四季報を都築は眺めると、見下すように佐々木へ目線を送る。
「あ…、あの…、何度も声をかけたんですが、返事がなくて…。どうしても都築さんに協力して欲しくて。すみません…」
「協力? ただ金が欲しいだけじゃないのか? 株で一山あてて欲しかっただけじゃないのか?」
「そ、そんな…」
「じゃあ、どんな理由があるんだ?」
 自分の財産の為ではなかった。しかし、七千万を稼いでもらおうと思っていること攻められている、そんな都築の態度だった。何も出来ず、都築の力を借りて責任を逃れようとしている後ろめたさを感じていたのは事実だった。自分自身でも見たくない部分を都築に指摘され、ばっさりと切られたようで、佐々木は言葉を失ってしまった。
「言い訳出来ないだろう?」
「でも…」
 さあ言い訳してみろと言わんばかりの鋭い目線を送ってくる都築。追いつめられているのは判った。佐々木は止めようのない感情を抑えるように、爪が手のひらに食い込むくらいに力一杯、手を握る。
「や、やってもいないのに…、七千万不足が出て、どうしていいか判らなくて…。都築さんなら何とか…」
「そんな事お前の事情だろ? 俺には関係ない」
「確かにそうかもしれないけど…。今、俺が頼れるのは都築さんしかいないんです!」
「どこで俺の事知ったのか判らないが、とにかく出て行け! 俺がお前を助ける義理なんて無い!」
 都築は佐々木を追い出すように、蹴るふりを見せた。足下でかがみ込んでいる佐々木を無理矢理に追い出すには、身長の高い都築がやっと狭い段ボールハウスでは、自由に動けないらしかった。それでも何とか追い出されないように必死に、佐々木は振り上げられた都築の足下に縋り付く。
「そんな…、俺、なんだってします。だから! だから、御願いします、どうか助けて下さい…。都築さんに頼るしか…、本当に判らないんです…。会社で横領犯は扱いされて…、出勤することも出来ないし…。加藤課長も…」
「加藤? そう言えば、お前、東和の社員だったな…」
 都築の表情が変わったことに気付かないほど追いつめられた佐々木は、涙が流れそうになるのを必死に押さえた。都築に責められれば責められるほど、考え無しに加藤の言われるままに、都築に助けてもらいに来たことを痛感させられた。けれど、夕方加藤に言われたように、不足を何とか埋めない限り会社に居場所はない。そう考えると都築に縋ること以外は出来なかった。
 都築は縋ってくる佐々木に冷たい視線を送りながら、下卑た笑いをする。
「ふぅ〜ん。じゃあ、ここで俺を楽しませてくれるか?」
「えっ…」
 言葉の意味が理解出来ず、佐々木は動きを止めた。都築はいやらしい笑みを浮かべたまま、自分の言っていることを楽しむように一回頷く。
「そうだな…、いい案だ…。どうせ加藤の命令で来ているなら…。お前がここでやらせてくれるんならその代金として、稼いでやるよ…。どうだ、そのくらいの覚悟はあるか…」
「つ、都築さん…」
「どうせ、お前の上司の加藤に頼まれて来たんだろう? だったらそのくらいの接待くらい出来るだろう?」
「加藤さんを…、知って…」
 質問に応えずにゲームでも楽しいでいるように笑みを浮かべ、真っ直ぐ向き直ると、佐々木を押さえつける位置に腕を奥と、目の前に二本指を立てる。
「大金を求めてきているんだ。お前の覚悟を見せてくれよ。俺に抱かれるか、それとも諦めて帰るか、二つに一つだ」
 狭い空間ではあったが、拒むことができない訳ではなかった。しかし追いつめられた距離で佐々木が考えられたことは、会社に居場所を失いかけている自分のことではなく、この都築伸幸と言う男が会社を追われどんな人生を送ってきたかだった。
「何だ? 逃げないのか?」
 クククと笑い声、ランタンに灯された都築の表情は、不思議と佐々木がずっとあこがれを抱いていたものと変わらない気がした。
 抵抗しない佐々木に都築は覆い被さると、乱暴に唇を奪う。恋人同士のキスとは違い、官能だけを求めてきた。都築の舌が唇を舐る。息苦しさに口を開いた瞬間今度は口腔を舐め上げる。
「うっ…」
 都築は、口づけで訳が分からなくなっている佐々木を貪るように、舌を絡ませ執拗に口腔を舐りながら、乱暴にズボンを脱がした。下半身を被っていたものが取り払わされた瞬間、流されていた自分に嫌悪感が襲ってくる。
「っ、うっ、うっ」
 口を塞がれたままで言葉することを許させなかったけれど、佐々木はまだ冷え冷えとする空気の中に露出させられた性器に、手足をばたつかせた。いくら暴れようとも自由を許さない都築は、佐々木の逸物を握った。乱暴な触れられ方とこれから何が起こるのか判らない不安に耐えられなくなった佐々木は、自分に覆い被さっている都築を押し戻す。
「いやだ。やめろ…」
 言いしれぬ恐怖に自身気付いていなかったが、泣いていたのかも知れない。肩でしゃくる呼吸をしながら佐々木は躯を都築から話そうとした。佐々木の性器を握ったまま、頬と耳を軽く舐る。
「俺は止めてもいいんだぜ、帰るなら今だ。お前がそれでいいならこれ以上は止められないからな…」
「くっ…、それは…」
 息と一緒に言葉を飲み込んだ佐々木を嘲るように、都築は笑う。
「加藤に言われたか? 金を用意してもらう為にならなんでもしろって。躯ぐらい提供すれば簡単に稼いでくれるとかな…」
「そ、そんな事ないです…。確かにここに来たのは加藤さんに言われてですけど…。でもどうしても都築さんに逢いたくて…。俺、会社では一緒だった事なかったけど、でもずっと都築さんにあこがれていて…」
「あこがれね…、そんな言葉久しぶりに聞いたよ…。今でも使うやつがいるとは思わなかった…」
 佐々木を押さえつけながら都築は、眉音を寄せながら、先ほどの冷たいものとはまた異なる苦笑にも似た笑みを浮かべる。けれど表情を元の硬いものにすぐに戻す。
「もう一度言う。お前が選ぶんだ。ここで帰るか、俺を満足させるまで抱かれるか…」
「…」
「どうする?」
 唾を一回飲むと、佐々木は覚悟を決めた。
「判りました…、抱き心地とか良く無いかも知れませんけど…。都築さんの好きにして下さい…」
 真剣な眼差しで見つめる佐々木に、都築は少しだけ驚いたように見えた。
「本気か?」
 先ほど自身を直接振れられ恐怖に逃げようとしたはずだった。自分でしようとしていることがむちゃくちゃなのだと判る。女性とだって押し倒す、押し倒されるなんて経験などなく月並みな恋愛をしていた。まして今これから都築がしようといている行為など、同性で行うなど考えたこともなかった。
 佐々木は自分の意志を現すようにゆっくりと頷いた。呆れたように都築は一回息を吐くと、髪を梳くように自分の頭に撫でつける。
「お前、名前…、何て言うんだ?」
「さ…、佐々木祐司です…」
「そうか…、じゃあ、約束しよう、佐々木祐司」
 都築はそう呟いた後、佐々木のシャツのボタンを開き、胸の飾りを舌で転がしながら、花茎で一番感じる凹凸の部分を指で何度かなぞった後、筋張った部分を少し強めに擦った。
「あっ、あっ、あっだめ、そんな風にしたら、イッちゃう…」
「一回イッた方が楽だな…」
 背がしなり、あっという間に佐々木は絶頂を迎えた。都築は佐々木が吐き出した精を、硬く蕾んだ部分に擦り付け緩めながら、まだ形を帯びていない部分を扱いた。その瞬間、恥ずかしい勢いで佐々木の精が都築の手を汚していた。
 人にいかされる行為が、佐々木にはあまりの快感と羞恥心を全身にもたらしてはいた。しかし今まで制御出来ないほど緊張していた筋肉から力が抜け、都築が言うように楽になった気がした。
 肩で息をしながら全身を真っ赤にしている佐々木の額に、なだめるように都築は唇を落とす。そし少しだけ都築と言う人間の温もりを感じ始めた頃、放ったものを佐々木の秘めた部分へ塗り込める。
「えっ…、ちょ、ちょっと都築さん……」
 最初はそっと撫でるように、しかし少しずつ躯の中を暴くように動き始めた指。佐々木は戸惑いながら自分の中に進入しようとする指から逃れようと身を捩った。都築は唇で届く限りの部分に唇を落としながら、萎えた佐々木自身を優しく撫でる。
 不思議な気分がした。緊張していたものが、先ほどの吐精で抜けたからかも知れないが、都築の唇や指先がむき出しになった快感を、先ほど以上に鋭くする。都築は佐々木の頬や額に何度も唇を落とすと、蕾をほぐす指に添えるようにもう一本の指で窄んでいる部分を撫でてくる。
「い…、いやだ…。都築さん…、これ以上…、だめ…」
「もう少し我慢しろ…。すぐにもっと気持ち良くしてやる」
 躯の中でバラバラに二本の指が動いている。自分の精液を潤滑剤にほぐされているとは知っていても、それで今まで感じたことのない圧迫が、佐々木を喘がせていく。肩で大きく勢いを付けないと出来ない程の息。佐々木は窒息するのではないかと思えるほどの苦しさ。
「本当に…、本当にだめです…。もう…。あっ…、いや!」
 必死に身悶えている途中で、都築の爪先が躯のどこかをかすった。その瞬間佐々木の躯には電流が走ったようなそんな恐ろしさが躯を走る。その変化に都築も気付いたらしく、必要に佐々木が反応した部分を爪先や指の腹を押す。佐々木は快感と言う言葉の意味も理解出来ないまま、全身を振るわせながら、わずか前に萎えてしまったものを屹立させた。
 躯の奥からわき出し、自分が破裂してしまいそうな強い圧力から逃れようと全身に力を込めながら、涙を流しながら佐々木は都築に縋った。
「お、お願い…、もう、いやだ…。助けて都築さん…」
「そんなに力を入れるな。祐司、すぐ楽にしてやるから、ゆっくりと息を吐くんだ…」
「わ、判らない…、そんな…」
 自分と違うところにいるのでは無いかと思える自分。股間で蠢く都築の指が三本に増え、佐々木の普段、人が触れることがまずない部分を広げていることにも気付かないくらいに…。しかし、指がすべて抜けた瞬間、佐々木の躯はまた別の変化を遂げる。今度は有ったものが無くなったような喪失感と。
「だめ…、抜かないで…」
「よく言えたな…。お前の色っぽさで俺ももう限界だった…」
 自分を求めて止まない唇に、都築は口付けを落とす。そして急くように下着ごとズボンを脱ぐと、すでに天井を仰いでいる自身を佐々木の五分咲きの蕾に押し当てた。
「少し辛いかも知れないが、佐々木の顔をもっと見ていたい…」
 そう呟きながら内側に快感で震えている佐々木の脚を自分の肩に回すと、先走りを漏らしている自身で蕾を貫き少しずつ徐々に開花させていく。
「あ、いや…、痛い…、つ、都築さん…、苦しい…。」
 佐々木の躯に力が入らないように優しく愛撫しながら、都築は自身を押し進めていった。しかしすべてが収まった瞬間、身悶え喘ぎながら佐々木は躯に収まった都築の先から、痛みとは別の苦痛を感じ始めていた。
「んっ…ん。もっと…、奥にいれて…」
 強引に開かれる間接や骨のきしみよりも、躯の奥にともるものが満足したいと、無意識に都築を求めていく。都築はにやりと笑みを漏らし、佐々木の最奥を暴いていく。
「あっ、あぁ…、いい、もっと…、もっと…」
 ただ高みを求め、佐々木は自分から腰を揺らしていき最後には都築のもたらす官能で吐精してしまった。都築も甘く自分を締め付ける蜜壺にすくわれるように、頂点を極めていった。

 冷えた空気を溶かすような暖かい陽射しと頬を撫でる優しい風。耳に届く、鳥のさえずり。自然に包まれているそんな気持ちになる。
 天国ってこんな感じだろうか…。そうか…、死んだんだ…。そんなとぼけたことを考えながら、佐々木はゆっくりと目を覚ました。
「ここ…、どこ?」
 いきなり目の前に飛び込んでくる半透明に輝く新緑の木々。何重かの段ボールで作られたしっかりとした壁と、二畳弱の空間にきちんと荷物が整理されていた。いつも寝ている煎餅布団とは違い、何も身につけていない素肌に、掛けられたタオルケットのさらりと肌に触れる優しさが心地いい。
 鳴らない目覚ましと、一DKの古くて汚れたアパートとはまったく違う景色。昨日何があったか思い出せないまま、いつもの朝の様に上半身を勢いよく起こした。とたん、全身が引きつるような痛みが襲ってくる。
「えっ…」
 身体の節々すべてが反乱を起こしているような感覚。今まで経験した事の無い痛みは、ふわりとした全身を包んでいる空気を忘れさせ、天国を地獄に落とすようなそんなものだった。佐々木は、苦痛をやり過ごそうと、堅く目を閉じて一回ゆっくりと呼吸をした。詰まらせていた息を静かに吐き、それから瞳を開く。
 ここは、天井の部分が開かれた公園に建てられた都築の段ボールハウスの中。新芽のまぶしい木々の間から柔らかい光が射している。
 じわじわと感じる現実に、昨日会社で告げられた七千万の不足と、それが同僚にばれやってもいない横領の罪を着せられてしまった。上司の加藤のアドバイスで助けて貰うためにここへ来て、そして何でもすれば協力してくれると言う、都築の言葉を信じ自分の躯を提供した。
 あまりに早い時間の流れに、なすがまま流されている自分を自覚しろと言わんばかりの身体の痛みを感じる。夕べあれだけここで止めるかと尋ねられ、それでも帰らずに都築に抱かれることを選んだ。幸いなのは、夕べ何度も精を放ったにも関わらず、躯が清められていて今傷み以外の不快感が無かったことと、そして天井部分が外されていてこもった空気がすがすがしい物に変わっていたことだった。
 都築の姿はどこに居るのか判らない。
 一晩明けてみて、考え方が少しだけ変化したのか、都築に頼るだけではなく、他に解決する方法を探してみよう…、そんな風に思えるようになっていた。都築としたことに後悔が無かった。みっともなく都築のもたらす快感に流され、霰もない姿をさらし何度も吐精した。思い出せば思い出すほど考えれば考えるほど何もただ混乱し、何も考えもなしにした行動に、自己嫌悪する。
 もしかしたら都築は当分帰ってこないかも知れない…。佐々木は深い溜息を付き、都築が奇麗に畳んでくれた夕べ着ていた服を身につけていった。それから、手帳を取りだし、また来ます≠ニメモを残し、ゆっくり立ち上がり段ボールハウスの外へ出る。本当にまた来るのだろうか…、これからと言う言葉の先を考えると溜息しか出なかった。そして、いったん家に帰って、ゆっくり寝てからこれからのことを考えよう、そう決めると佐々木は痛みを避けるように静かに歩き出した。
 公園は朝と言うよりも昼に近い陽射しに包まれていた。

to be continued

そんな云い分けいいわけ?

2005年08月14日に出た新刊のプロローグです。
知り合いに趣味が株式取引と言う人間がいます。
株を見ているととても面白い。でも見ているから面白い…。
ちょっと情けないお話…。


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