2000/8/15(火)

 
Go By BUS

 

 金曜日のゲネプロ(通し稽古)が終了し、演出家からダメ(今日の舞台の注意)が出される。
 自分では何とかやったと思っていたところの演出家の目は厳しく立ち位置やオーケストラと合ってなかったところなど注意事項が多く云われる。
 確かに舞台にいるとオーケストラの音が聴きづらかったりしたところも多々あった。
 明日日曜日の出演者でもゲネプロがある。その時には今以上にチェックして向かわないといけないのだ。そして本番はそれ以上に...。そう思うとプレッシャーで胃がきりきりしてくる。
 メイクを落とし、衣装を片づけ帰宅の途につく。
 Fu〜。
 明日を考えるとつい深いため息が出てしまう。ため息をつきながらバス停に合唱団の友人と向かった。劇場から最寄りの駅までは皆がだいたいバスにのって帰宅していた。

「お疲れさまです」
 え!!
 心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張した。彼だ...。
 自分の耳を疑い一瞬言葉を返すタイミングを逃し、再度彼を見ると、彼はソリストと会話に挨拶をし、ソリストとオーケストラの彼の友人らしき人と楽しそうに会話が盛り上がっていた。
「いやー。ちょうかっこいっすよ。エスカミーリオ」
 彼が話す。
「あ...。有り難う御座います。ヴァイオリンですか」
 ソリストが答える。
「ああ、そおっす。ファーストの末席って感じですけどね。でもカルメンって知ってるナンバー多いからつい歌いたくなっちゃいますよね」
 彼が俺の方を向いて質問する。
「じゃ次は一緒に歌ったらどうですか?」
 俺が彼にふざけた風に云う。
 彼は思いっきり楽しそうに笑い、”それもいいですね”と云う。
 彼の笑った顔を眠そうにしていた彼の表情より何倍もいいと思った。
 
 明日は明後日のゲネプロとそして本番。
 明日が楽しみに思えてきた。
 

To be continued...
 


 

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